「自分に似合うメイクがわからない」
「人気のコスメを買っても、なぜかしっくりこない」
「若い頃に似合っていたメイクが、最近似合わなくなった気がする」
日々レッスンをしていると、こうしたお悩みを本当によく伺います。
昨日も30代後半のお客さまから、「以前のメイクが急に似合わなくなってきた」というご相談がありました。
お気持ち、よく分かります。
私自身も40代半ばになり、以前は似合っていた色が「なんだか違う」と感じることが増えてきました。
そんなとき、私がレッスンでお伝えしているのが、
「似合うメイクは、まず口紅から考えるとわかりやすい」
ということです。
なぜ、口紅なのでしょうか?
口紅は、メイクアイテムの中でも顔全体の印象を大きく左右するアイテムです。
同じ顔、同じベースメイクでも、口紅の色を変えるだけで、肌が明るく見えたり、反対に少しくすんで見えたりすることがあります。

実はこれは、感覚だけの話ではありません。
大阪大学などの研究チームが2017年に発表した研究では、唇の色を変えることで、顔の肌の明るさの見え方まで変化することが報告されています。
唇をより赤くすると肌が明るく、唇を暗くすると肌も暗く知覚される傾向が確認されました(Kobayashi et al., 2017)。
つまり私たちは、口紅を「唇だけの色」として見るのではなく、肌を含めた顔全体のバランスとして見ていると考えられます。
だからこそ口紅を変えただけで、
「肌がきれいに見える」
「顔色がよく見える」
「顔全体がまとまって見える」
と感じることがあるのです。

口紅には、黄み・青み、明るさ、鮮やかさ、ツヤ・マットなど、さまざまな違いがあります。
実際に顔の上で比べてみると、
「この色は肌がきれいに見える」
「こちらは少し顔色が沈んで見える」
といった違いが、とても分かりやすく現れます。
私は以前、資生堂で口紅をはじめとする化粧品の商品開発に携わっていました。
現在は講師として、多くのお客さまのお顔を拝見しながら、
パーソナルカラーやメイクを通して「美肌に見えることと色の関係」を日々研究しています。
そこで改めて感じるのが、口紅は似合うメイクを考えるための、とても優秀な「色の基準点」になるということです。

もちろん、口紅だけでメイクのすべてが決まるわけではありません。
ベースメイク、眉、チーク、アイメイク、顔立ち、質感。
それぞれのバランスがあって、初めてその人らしいメイクになります。
BEAUTY MAPでは、まず口紅を通して「自分の顔や肌がきれいに見える色」を知り、そこからチークやアイメイク、ベースメイクへと広げていきます。
これが、私が提唱している「口紅分析」です。
似合うメイクが分からなくなったとき、すべてを一度に変える必要はありません。
まずは、一本の口紅から。
自分の肌がきれいに見え、自分らしく見える色を知ることが、メイク迷子を抜け出す最初の一歩になると考えています。
少しでも、みなさまの秋メイクや秋ファッションのお役に立てたら嬉しいです。

参考文献
Kobayashi, Y., Matsushita, S., & Morikawa, K. (2017). Effects of Lip Color on Perceived Lightness of Human Facial Skin. i-Perception, 8(4).
